智哉がいつも一緒にいてくれたから、一度も寂しいと思ったことはなかったのだ。


人見知りで友達が出来ない私といつも遊んでくれたし、公園に行きたいと言うと、学校が終わると直ぐに連れて行ってくれた。


智哉が学校が休みの日は、遊園地や水族館にも連れて行ってくれたし。


智哉は同じ年の友達とも遊ばず、いつも私と遊んでくれていたのだ。


あの頃はそれが当たり前だと思っていたけど、幼かった私には智哉の気持ちにも気づけず。


多分、我儘な私に付き合ってくれていたのだろうと思う。


「俺が麻都佳といたくてそうてたんだからな。麻都佳は心配しなくていい。」


麻都佳と離れていた、10年は本当に長くて、何度も会いに行こうと思ったと。


でも、必ず又会える事を信じて、会いたい気持ちを必死に抑えていたんだ。


まさか、あの公園で会うとは夢にも思わなかったと、智哉が言った。


智哉は浮浪者みたいな姿で、公園にいたのだろうか。


「麻都佳に会う為に、頑張って社長になれたと言うのに、小澤の仕組んだ策略にまんまとはまった自分が情けなくて、全ての事から逃げたんだ。」


何処かへ行きたかった。


もう、麻都佳に会う資格もないと落ち込んだと言うが、私に会うための資格なんて必要ない。


会いたければいつでも会いに来たら良かったのにと思う。


智哉は見かけによらずヘタレなんだ。