真也が言った、その内分かると言うのは、何が分かるのだろ。


私がその何かを知ると言うこと。


私の記憶に関係してることなのだろうか。


早くはっきりさせて、すっきりしたい。


「自分だけの世界にはいるなよ。真也に何を聞こうとした。」


「桜の木の下に書いてあった、名前の事。相合い傘の下に真也と私の名前があったから。」


何か答えてよ。


智哉はふ~んと、言っただけで何も答えてくれない。


「着きました。」


そのまま無言で車を下りた。


部屋に入っても、何も話そうとしない。


気不味い。


気不味過ぎる。


「智哉は誰が書いたのか、知らないの。私は覚えてなくて。」


ソファに座ろうとする私を、後から強く抱き締めた。


智哉、どうしたの。


「もう、何処へもいくな。頼むから俺の側にいろ。」


振り向きたくても、強く抱き締められていて動けない。


もしかして、智哉は泣いてる?


だって、智哉の身体が震えているように感じた。


「桜の木に書いたのは、麻都佳だよ。」


私が自分で書いたの。


じゃ、私は真也がすきだったのだろうか。


思い出せない。