結局、俺たちは時間をかけ歩いて森を出る事になった。


メンバーには余計な心配をさせないため、広間に出ても電波がなかったと伝えておいた。


俺は乃愛の手を握りしめながら歩く。


真琴や菜摘も、徐々にいつもの調子を取り戻してきていた。


これが俺の望んだ世界だ。


なにも間違ってはいない。


それなのに、どうして創吾はあんなに怯えていたのだろう。


笑っている乃愛を見ていると、儀式が失敗しただなんて考えられなかった。


手順通りに行ったし、失敗もしていないハズだ。


きっと、創吾は過剰になっているのだろう。


偶然エンジントラブルで車が動かなくなったことで、疲れと不安が押し寄せて来たに違いない。


俺だって不安はあった。


やってはいけないような事を、神にそむくような事をしてしまったのだから、恐ろしくないわけがなかった。


もしかしたら、儀式の犠牲になったのは俺の良心なのかもしれない。