乃愛が幸弘の手を握り返すのを、あたしはたしかにこの目で見た。


この場にいた幸弘と創吾以外の全員が愕然としていたと思う。


「本当に……蘇ったの?」


真琴が恐る恐るそう訊ねる。


あたしは左右に首を振った。


そんなのわからない。


あれが本物の乃愛だなんて、あたしにはわからない。


だけど、幸弘はとても嬉しそうに乃愛との会話を楽しんでいる。


その様子があまりに自然なので、あれは本物の乃愛なのではないかと思ってしまう。


「でも、動いてる……」


そう言ったのは和希だった。


乃愛は今幸弘の手に支えられながら立ち上がった所だった。


「儀式は成功した」


創吾が自信満々にそう言った。