みんなの歌声が心地よく聞こえて来る。


儀式が始まってからどのくらい時間が経過しているのか、感覚がどんどん失われてく。


ウタは同じフレーズを繰り返し、月はポッカリと浮かんだままそこに止まっているように感じられた。


この広間に本当に朝が来るのだろうか?


死体を誘拐するなんて罪を犯した俺たちは、とっくの前に許されざる地に足を踏み入れているんじゃないだろうか。


グルグルと回るウタに、思考回路が朦朧としてくる。


眠気にも似た気だるさが体を支配して、海の上に浮かんでいるような感覚だ。


水分補給を十分にしたはずなのに、すでに喉はカラカラだ。


みんなも同じなのか、時折苦しそうに顔をしかめるメンバーもいた。


もう少しだ。


あと少しで儀式は終わる。


それまで我慢してくれ。