膝をつき、乃愛の口を少しだけ開ける。


中は空洞で逆流してきた異物はなかった。


その真っ黒でどこまでも続いていそうな口の中に、血を流しこんでいく。


6人分の血だ。


小瓶が揺れて乃愛の唇を赤く染める。


俺はそれを指先で拭った。


そこだけ紅を引いたように赤くなり、妖艶な雰囲気を醸し出した。


「できたぞ」


小瓶の血液をすべて乃愛の口に流し込んだ俺は立ち上がり、自分のいた場所へと戻った。


「次は夜明けまで歌を歌い続けるだけだ。歌い始めると途中でトイレにも行けなくなる」


創吾の言葉に、香菜美が腰を上げた。


「今なら大丈夫ってことでしょ?」


そう聞く香菜美に、創吾は頷く。


「みんなも今の工程で少し疲れただろう。30分ほど休憩を取ろう」