その時の小学生は助けることができた。


どうにか川の流れが遅い場所まで男の子を引っ張って行ったのだが、その直後にあたしは力尽きてしまった。


自分の体を自分でコントロールできなくなった。


流れが早い方へ早い方へと流されて行き、視界には陸と空と水中が慌ただしく見えていた。


河川敷にいる小学生の子たちが慌てているのを見たのが最後だった。


あたしは、あの時死んだ。


そして蘇ったのだ。


この森で。


乃愛と同じ儀式をして。


その時にいたのは創吾とあたしの両親だった。


創吾は溺れているあたしを見つけて駆けつけてくれていたそうだ。


だから、あたしと創吾は儀式が本物だと知っていたし、他のメンバーの記憶がすでに改ざんされていることにも気がついていた。