しばらく歩いていると、大きな洞窟を見つけてあたしたちは立ち止まった。


洞窟の中を懐中電灯で照らしてみると、中にはなにもいない事がわかった。


「一旦ここで休憩をしよう」


乃愛を背負っていた幸弘がそう言い、乃愛を岩の上におろした。


「ごめんね幸弘。大丈夫?」


「平気だよ。乃愛はなにも気にしなくていい」


幸弘はそう言い、乃愛の頭を撫でた。


その様子を見ていたくなくて、あたしは顔をそむけた。


洞窟の中は奥へ奥へと続いていて、空気がヒヤリとしている。


「最悪、ここで野宿でもしないといけないかもしれないな」


創吾がポツリと呟いた。


「そう……だよね」


空を見上げると太陽は傾き始めている。


明るいうちに森から出られるとは思えなかった。


「幸い、ライターはある。今の内に小枝を集めておこうか」


そう言った創吾が洞窟から出た。


あたしは慌ててその後を追いかける。