車の揺れに身を任せながら、あたしは自分の手のひらを見つめた。


乃愛の体に触れた時の感触がリアルに残っている。


乃愛の体は冷たくなり始めていたけれど、ちゃんと人間と同じような感覚だった。


あたしは両手をギュッと握りしめて窓の外を見た。


見慣れた景色がどんどん遠ざかっていく。


自分たちがとんでもないことをしてることは、理解していた。


それでも、儀式を行う事で幸弘の気が済むならそれでいいのかもしれない。


儀式を行って乃愛が目を覚まさなければ、ようやく死を受け入れるんだろう。


愛する人の死を受け入れる方法は人それぞれだ。