小屋の中で休憩を取った後、俺たちはまた歩き出していた。


朝よりもずっと重苦しくなっている空気に、呼吸困難を起こしそうになる。


みんな緊張感を持ったまま、だけど誰の事も信用できなくなっているのがわかった。


「乃愛、大丈夫か?」


少し歩いては振り返り、乃愛の足首を確認する。


「大丈夫だよ。もう出血も止まってるから」


そう言いながらも、まだ歩くのは辛そうだ。


今度は遅れを取らないようにみんなの真ん中くらいの場所を2人で歩いていた。


「辛かったら言えよ? またおぶってやるから」


「やだ。子供みたいじゃんあたし」


乃愛はそう言い、少し頬を赤らめた。


その仕草は今までの乃愛と寸分の違いもなくて、俺はホッと安堵のため息を漏らした。


俺はこの表情を取り戻したくて儀式をしたんだ。


こんな事態になったけれど、後悔なんてしていない。