ここで乃愛を生贄にし、俺と2人で逃げるつもりだ。


「そうか。お前の言っていることは理解できる。でも……」


『その提案を飲むことはあり得ない』


そう続けようとしたとき、足音が聞こえて来て俺たちは振り返った。


道の遠くに人影が見える。


一瞬身構えたが、それは和希たちであるとすぐに気が付いた。


俺は創吾へ視線を戻した。


「これだけの人数がいれば、乃愛を生贄にする必要はない」


咄嗟に、そう言ったのだった……。