どうにか小屋から脱出した俺と乃愛は創吾と合流し、森の出口を目指していた。


歩いている最中、後方から女の悲鳴が聞こえてきたが俺たちは振り返らなかった。


「ねぇ、今の声聞こえた?」


乃愛が不安そうな表情でそう聞いてくる。


「なんのことだ?」


俺は首を傾げて見せた。


「聞こえなかった? ねぇ、創吾。真琴は本当に後から追いついてくるんだよね?」


乃愛には創吾と真琴は後から来ると伝えてあった。


それが創吾1人しか追いかけて来なかったので、不安が募っているようだ。


「あぁ。外にはあいつらがいたから、俺たちは別々に小屋から出ることになったんだ」


創吾が苦し紛れの言い訳をする。


「それって大丈夫なの? 真琴は1人で小屋から出られるの?」


乃愛が俺の服を引っ張りながらそう聞く。


心が不安定になっている時によくやるクセだ。


「大丈夫。小屋の中には武器もあったし」


そんな嘘をつき、俺は乃愛の手を握りしめた。