外からの物音はもう聞こえてきていなかった。


和希がそっと戸を開けて顔だけ出して外の様子を確認する。


「大丈夫そうだ」


あたしへ向けてそう言い、戸を開けて外へ出た。


あたしもその後を追いかける。


耳を澄ませて聞こえてくるのは風の音を、どこか遠くから聞こえて来る鳥の鳴き声だけだった。


それを確認したあと、あたしと和希は小屋を右回りに一周して確認することにした。


何が出て来てもいいように、ナイフをしっかりと握りしめている和希。


その手は微かに震えていた。


息を殺して小屋の右手に回ってみたが、そこにはなにもない。


草木が踏みつけられたような痕跡もなかった。


そしてまた足を進める。


和希が小屋の角を曲がった時だった。


「うわっ!」


と声を上げて突然立ち止まったのだ。