森の中は薄暗く、何がいるのか見えない。


だけど気配だけは確かに感じられていた。


音楽を流していても平気で近づいてくる動物もいるのかもしれない。


カケルと見るとその表情は険しいままだった。


何も行動にうつさないということは、このままジッとして動物が逃げて行くのを待つのが一番なのかもしれない。


その時間は永遠のように長かった。


森の木々がガサガサと揺れるたびに緊張で体が硬直する。


見えない動物は俺たちの匂いでいつ襲い掛かって来るかもわからない。


俺は乃愛を庇うように立ちはだかった。


こんな所で乃愛を失うわけにはいかない。