「免許なら俺が持ってる。学校に内緒でこっそり取ったんだ。車は、和希、お前の家にファミリーカーがあったよな？　何人乗りだ？」


不意に話を振られた和希が驚いて目を見開く。


「８人乗りだけど……なにする気だよ」


「乃愛の両親がここへ戻って来る前に遺体を車に乗せる。それができれば、あとは蘇りの儀式を行うだけだ」


創吾は額に汗を光らせながらそう言った。


「ちょっと、創吾！」


真琴が叫ぶ。


その声は霊安室に響き渡った。


「冗談はいい加減にしてよ」


菜摘が創吾を睨みつけてそう言った。


だけど、創吾はまるであたしたちの意見なんて聞こえないかのように、幸弘を見つめていた。


すべての決断を幸弘にゆだねているように見える。