30分ほど小屋で休憩を取った俺は、誰にも何も言わずに立ち上がった。


いつまでも休憩している暇はない。


少しでも明るいうちに森から出たい。


「そろそろ行くか」


俺が立ち上がったのを見て創吾が上半身を起こして言った。


「そうだね。日が暮れちゃうもんね」


菜摘と真琴が立ち上がる。


「それなら、俺も一緒に行っていいかな?」


カケルの言葉に一瞬みんなが黙り込んだ。


カケルの事を信用していいのかどうか、まだわからない。


こんな森の中で出合った男だ。


警戒しても仕方がない。


「せっかくだし、一緒に行こうよ。カケル君はこの森に詳しいみたいだしさ」


そう言ったのは乃愛だった。


「乃愛」


俺は乃愛をたしなめる。


みんなの意見も聞かずに決めることはできない。