小屋で出合った男は自分のことを青山カケルと名乗った。


気回心を微塵にも感じさせないカケルの態度だったが、こんな場所で1人でキノコ狩りなんて本当だろうか?


籠の中に沢山入っているキノコを見ても、その疑いが晴れることはなかった。


小屋の中は8人でいても十分スペースがあり、あたしたちは体を伸ばすことができた。


「すごいなこの小屋は。食料の備蓄がある」


小屋の中を歩き回っていた和希がそう言った。


小屋の隅には食器棚が置かれていて、そこには沢山の食糧や水が保管されているようだった。


「あぁ。時々小屋で泊まる時があるからね」


そう言ったのはカケルだった。


「泊まる? もしかして、この森の所有者の息子か?」


創吾がそう聞くと、カケルは頷いた。


「そうだよ。俺無断でキノコ採ったりしないし」


その言葉にあたしたちが責められているのだと気が付いた。