そして、私たちにはとても耐えられない空気であった。

無理だ。

恥ずかしすぎる。


うちの宰相やばい人だって思われる。



ア「……また2人は…す………な……で…………」


『ボールドウィン公爵閣下、ありがとうございました』


気を利かせたのか、時間が押しているのか真意は分からないが、アーヴィンのマイクの音量が徐々に下がっていった。

少しムッと口をとがらせたお父様は、マイクを通さずに叫ぶ。


ア「最後にこれだけ!!ローナとユアンをよろしく頼む!!」


満足したお父様は、促されるとおりに壇上から降りていった。

私(と、恐らくユアン)は、絶対に許さないと心に誓った。


『本日予定しておりました新入生代表挨拶と生徒会長による代表挨拶はこちらの都合により後日とさせていただきます』


お父様のせいだ。

大の大人が公私混同してるなんて……

愛されているのは嬉しいけど、少しお話をしなければいけない。


宰相の仕事はきちんとこなしているって聞いていたのに。


『それではクラス分けに移ります。各寮ごとに行動してもらいますので監督生の指示に従ってください』

そのまま続けてアナウンスが流れ、新入生の前に上級生が並んだ。


制服の胸ポケットには花を挿し、他の生徒の服とはデザインの異なるお尻がすっぽりと隠れてしまうような長さのブレザー。

前世で総理大臣が着ていたような「モーニング」と呼ばれる礼服に、形は似ていた。


腕にはきらびやかな腕章が着いており、生徒の中でもかなり目立つ出で立ちである。