(落ち着け、私。私は貴族。優秀な両親と兄弟の下で、家庭教師に色々教えてもらってる。……よく分からないこともあったけど。図書館の本だって昔から読んでる。……いまだに理解できないことも多いけど。大丈夫、大丈夫……)
対策をしていた入試とは比べ物にならない心臓の高鳴りを抑えようとしながら、配られる問題用紙の表紙を眺めた。
対策はしてきたけれど、周囲の人間の学力が未知数だ。
ましてやイエロードルフィン、ここには幼い頃から英才教育を施されてきたであろう人間しかいない。
このテストで、これからが決まる。
バ「行き渡ったかな?それではただいまより新入生試験を行います。机の上にある時計が、時間管理とカンニング防止のカメラになっているから不正はなしでお願いします。それでは、はじめ!」
先輩の掛け声と共に、紙をめくる音と、コツコツというペンの音が響き始めた。
この緊張感は、集中力を高めさせる。
私も、すぅっと息を吸って共通問題を解き始めた。
(……あ!これ真剣ゼミで出た問題だ!!)
なんて、かつて見本の漫画で目にしたことのあるシーンになることはもちろんなく、ただひたすらに、記憶の引き出しを片っぱしから開けていく作業。
分からないわけではないけど、何年前に教わったか分からない記憶の端で眠りにつこうとしていた知識を呼び起こしたり、最近お父様が夜通し対応していた時事問題が出てきたり。
さすが名門としか言えない幅広い分野からの出題だった。



