「心彩ーっ! 起きなさい! 由真ちゃん待たせてるんだから!」
お母さんの怒声で飛び起きた。
慌てて着替えてリビングに行くと、朝食がすでに用意されていた。
「由真ちゃんもう待ってるわよ。パンでもかじって行きなさい」
呆れるお母さんを横目に、髪もとかさずパンをくわえて玄関を飛び出した。
「心彩遅いー! ってか、髪ぐらいとかしてきてよ!」
ため息をつきながら私を叱っているのは、幼なじみの新井由真。すらっとした美人で、おしゃれにはいつも気を使っている。
性格も大人っぽくて、お姉さんみたいな存在。
由真は、持参してきたブラシで私の髪を手際よくとかし、「さぁ行くよ」とスタスタ歩きだした。
昨日の拓人との出来事は、由真には電話で報告済みだった。
自分のことのように喜んでくれて、こっちも嬉しくなった。
「はぁ、学校に着けば彼氏が心彩のこと待ってるのかぁ。青春だねぇ」
由真はニコニコ笑いながら私にそう言った。
「うんっ、本当夢みたいだよ〜」
2人で笑いながら、学校へ向かった。