「じゃあ、測ろっか!」


はいっと体温計を渡されて、私はそれを脇に挟む。


少しして、ピピっと体温計が鳴る。


(37.4)


「うん、だいぶ下がったね。」


ふぅーっと流星先輩が息をはいた。


きっと、すごい迷惑掛けちゃったんだろうな…



「…先輩…すいません…」


「えっ?なにが?」


「だって…沢山迷惑…」


最後まで言葉にならなくて、涙が出てきた。

熱のせいか、情緒不安定みたいだ。



泣き出した私を見て、オロオロしていた流星先輩だけど、ぽんぽんと頭を撫でて、ぎゅっとしてきた。


流星先輩に抱きしめられていて、ドキドキするのに、涙は溢れるように流れてくる。


「ふぇっ…せんぱ…」



「ななちゃん?

全然迷惑なんかじゃ無いんだよ。
むしろ、もっと迷惑かけて欲しいくらい…」


流星先輩のその言葉を聞いて、余計に涙が止まらなくなる。


私は落ち着くまで、流星先輩にしがみつくようにして、泣いていた。