──プルルルルル……


『もしもし、蘭?』



「……あ、お母さん!?

ねえ、あたしが東條の家に住むなんて嘘だよね!?何かの間違いだよね!?」



お願いだから、間違いって言って‼




『あら、もう聞いたの?』



そんなあたしの願いも虚しく返って来たのは、この一言。


そ、そんなあ……




「何で言ってくれないのさ!?」



『え?蘭が昨日“明日話して”って言ったから……』



──……オイ‼

今話さなきゃいけない事と、明日でもいい事ってわかるよね!?
大事な嫁入り前の娘が、男の家に住むんだよ!?




「……とにかく。
あたしは絶ーっ対‼嫌だからね‼‼」




あたしが電話ごしにそう言った瞬間、お母さんは静かになった。


……あれ。