東條の風邪も良くなり、東條と過ごす時間が増えたこと以外はあたしの生活は日常的に戻って来た。





「……頭痛い」



「え、ちょっと風邪?
東條くんから移された?」



「んなワケないでしょ」





縁の冗談も、今日はさすがにツッコむ元気はない。
それをおかしく感じたのか、縁も心配そうにあたしの顔を覗き込む。





「ちょっと……アンタ顔色悪すぎ‼

保健室行っといで?
あたし先生に言っててあげるから」



「ん、そうしよっかな……」





重い身体を立ち上がらせて、あたしは教室から出た。

……いつも優しかったら、こんなにも嬉しいことはないのに。
そう心の中で呟いたのは、黙っておこう。



今の状態で、縁のパンチ食らったら生きてる保証ないもん。