あたし、最近変だよ。

こんなヤツ大っ嫌いなはずなのに。
それなのに、ドキドキしてる自分がいる。


東條の笑顔を見ると、胸がギュッとなる。

抱きしめられると、安心する。





「そんな事……あるワケないじゃん……」




もう一度呟いて、あたしは一つため息をついた。

別に、気にする事でも何でもない。
あたしは、ただ家の事情で東條の家に住ませてもらってるだけだもん。



気になんてならない。
気になんてしてない。

こんなの、ただの気の迷いだ。
急に優しくされたりしたから。ただ、それだけのこと。





「……ん、蘭……」



「え?」




キレイなハチミツ色の髪を揺らして寝返りをうった東條は、あたしに背を向ける。



……なんか、遠く感じる。
この時そう思ったのは、気のせいだと思った。