「……ちょっと、だけでいいから。
ここで……こうしてて……?」




東條はそう言って、あたしの身体をギュッと抱きしめた。



……え?
えええぇっ!?

東條……どうしちゃったの!?




「ちょ……東條どうしたの!?

ね、熱でおかしくなった!?」



「……おかしくなんか、ねえし。
毛布より、蘭の方が温かいから」




そのまま東條は、小さく寝息をたて始めた。


あたしは抱きしめられたまま、動けない。
グイッと腕を引っ張ってみたけれど、東條の手が離れる気配はない。



……寝てるくせに、何でこんなに力入ってんのよ。
気持ちよさそうに眠っている東條の顔を見て、あたしは密かにそんな事を思っていた。



それにしても……これじゃああたし、仕事出来ないじゃん。
だって、歩きまわる事さえ出来ないもん。