東條の腕の中で、あたしはどうしていいかわからずにドキドキしていた。


そんなあたしを抱きしめたまま、東條はポンとあたしの頭を撫でる。




あれ……?
この状況……この展開って、さっき見た夢と同じ?





「足、痛かったよな……ごめん」



今度はあたしのおでこに軽く口付けて、東條は部屋から出て行った。





「…………」



な、なに、今の。


『足、痛かったよな……ごめん』

なんだ。心配、してくれてたんだ。
アイツのことだから、全然全く気にしてないと思ってたのに。



心臓に手を当てると、自分でもわかるくらいドキドキしてうるさくて。

なぜか東條の笑顔を思い出すと、胸がギューってなって。



大嫌いだったはずなのに、抱きしめられた温度が……すごく、心地よかった。