そういえば……

あたしを下ろした東條をチラッと振り返った時、ニコリと笑ってポンとあたしの背中を叩いたんだよね。


あの時は下ろしてくれたことにホッとして、あまり深く考えなかったけど……

その時にやられたんだっ。



……アイツ、絶対許さない‼

あたしはその紙を、両手でグシャグシャに丸めた。





足を捻挫しているため、片足でジャンプしながら東條の席に向かう。



バンッ‼



「……どうかした?蘭ちゃん」



「『どうかした?』じゃないわよっ‼‼

アンタね、こんな変なことして‼‼」




東條はニコッと笑ったまま、あたしを見ている。


……うっ。
そんな笑顔には、もう騙されないもんね‼





「……ちょっと来て‼」



「え、そんな怖い顔してどうしたの?告白?」



「んなワケないでしょっ‼」




グイグイと東條の腕を引っ張りながらも、あたしの足首はズキズキと痛む。


い、痛い……
でも、あんな教室のど真ん中で話なんか出来ないもんっ。



少し歩いて、あたしは非常階段の所で止まった。