東條はあたしを抱いたまま歩き続け、気付けばもう教室の前にいた。

ドアの前でピタリと立ち止まり、あたしを見る。



……もしかしてこのまま入る、なんて言わないよね?
チラッと見上げてみると、東條はあたしを見てニコリと笑った。


そして、次の瞬間。


ガラッ……




「……って何で開けるのよっ‼」




思いっきり開かれたドア。
みんなの視線があたし達2人に向けられる。

東條はあたしを見てまたまたニヤリと笑い、今度は口を開いた。




「蘭ちゃん大丈夫!?

正門の前でいきなり倒れてたから心配したよ?」




………はい?
えと……ごめん、アンタ誰?


そんなことを思うくらいの豹変ぶり。




「は……アンタ何言って……‼」



「黙ってないと、今ここでキスするよ?」



耳元で告げられた言葉に身震いする。


…………黙ります‼一言も話しませんっ。
だから、早く下ろしてっ。








「もう大丈夫なの、蘭?」



「え、あ……うん。大丈夫」



やっと下ろしてもらえたあたしに声をかけて来たのは、友達の縁。
何だかんだ言って、心配してくれたみたい。




何で日常生活の中で、こんなに恥ずかしい思いをしなきゃいけないの……


まだ数日しか経ってないのに……こんな生活、もううんざりだよ‼