俺だけのLovelyメイド

香乃華さんのその声に、その涙に、

あたしの胸はズキンと痛んだ。




「……香乃華」



東條のその声に、香乃華さんがこっちの方に視線だけを上げる。

そのまま東條は、香乃華さんの元へと足を進めた。



香乃華さんの前まで歩み寄ると、いきなり勢い良く頭を下げる東條。

香乃華さんも、びっくりしたような表情を浮かべて顔を上げた。




「ごめん、香乃華。

香乃華のこと、傷付けてごめん。
香乃華の気持ち、踏みにじるようなことして、本当にごめん。


──けど、香乃華が俺のことを好きでいてくれるように、俺も蘭のことが好きなんだ。

だから……ごめん。

俺は、香乃華とは結婚出来ない。

でも、香乃華には──わかって欲しい」




「……っ」



香乃華さんは涙を堪えるような、そんな表情を浮かべて東條を見た。