「……っ離して‼」



思いきり腕を伸ばし、東條の身体を突き放した。

乱れた息を整えながら、東條の方へと視線を向ける。




「……めて」



「え?」



「……やめてよ……っもう、こんなことしないで‼

あたしは……──東條なんて、嫌い‼
大嫌い……‼


大っ嫌い‼‼」




涙で、視界が歪む。

東條が、どんな表情なのかはわからない。


でもこれで、完全に嫌われた。




「……っ」



こんな時泣き出してしまうあたしは、多分一番扱いにくい女だと思う。

東條は黙ったままで、何を思っているのかもわからない。


もう、どうすることも出来ない。




あたしは俯いて、東條から視線を反らす。
そしてそのまま、東條の横を通り過ぎようとした。