……ため息つきたいのは、こっちなんですけど。



「にしても、バカだよな、東條」



「へ?」



「だって、お前泣かせるなんて。
ほんと、バカ」



──生嶋くん?

何言って……



「まあ、バカだからこんなやり方しか出来ないわけだけど」



そう言って、生嶋くんはフェンスから身体を起こした。カシャン、とフェンスが小さく揺れる。


そのまま生嶋くんは、あたしに背を向けると梯子の方へと歩き出した。



え、え……?

残されたあたしは、どう反応したら良いのかわからなくて思わずうろたえてしまう。




「……あ、そうだ」



背を向けたまま、生嶋くんは立ち止まって口を開いた。その声に、あたしも動きを止めて生嶋くんの背中を見つめる。