こんなの、最悪な嫌がらせだ。
あたしの気持ち、知ってるくせに。




「……あ、そう……なんだ」



掠れ気味に出た声は、自分の声とは思えないくらいに──低い。


ああ、あたし。
きっと、顔にも出ちゃってるんだろうなぁ。


ポーカーフェイス、なんて。
あたしには、きっと無理だ。




「この学校の隣に、チャペルがあるでしょう?私たち、そこで式を挙げることにしたんです」



そう言って、香乃華さんは嬉しそうな笑顔を見せた。

わざわざ、そんなふうに見せつけるようなことしなくったって。


あたしは、痛いくらいわかっているのに。





「──あ、泰臣さんっ‼」



その声に、ザワザワとした辺りの声が、一気にシンと静まり返る。