正直、あたしはこんなにも東條のことを好きになるなんて、思ってもいなかった。


それどころか、最初は東條のことが大嫌いだったし、好きになることなんて絶対にないって、そう思ってた。





「……蘭?大丈夫……?」



隣の席に座る縁が、心配そうな表情であたしの顔を覗き込んでいる。



「……うん」




昨日の夜。
東條は、もう一度あたしの部屋に来ることはなかった。

それから、あの話がどうなったのかはわからない。


朝も東條に会わないまま学校に来て、──東條は学校に来ていない。





「……はあ」



どうなったんだろう、東條。

東條のお母さんが、すぐに話を聞き入れてくれるとは思えない。


学校に来てないのも、気になる。