思わずそう小さく呟いたあたしを見て、東條は口を開く。



「ほら、あの……
お前、オレンジ好きじゃん?

だから──あげようかな、と思って……」



遊園地で緑色の風船の横に並んでいた、このオレンジ色の風船。


この風船は東條の気持ちだって……

そう、思っても良いかな?




「……ありがとう」



そう言ったあたしを見て、もう一度笑う東條。
そのまま背中に腕を回し、ギュッとあたしを引き寄せた。




「……東條?」



「ごめんな、蘭」



突然言われた謝罪の言葉に、思わず戸惑う。

それは──……どんな意味の、ごめん?




「……でも、信じて。
俺はずっと、蘭のこと好きだから。

香乃華よりも、誰よりも、蘭のこと大切だと思ってるから」