「……あなた、自分が何を言っているかわかっているの?」


そう言った声が、ひどく震えていた。


それは、わかっている。
わかっているから、そう言った。


あたしはそれぐらい、どうしても東條が必要だって思っているから。




「わかっています。

あたしが大切なのは、泰臣だけです。
あたしが必要なのも、泰臣だけです。

だから、東條の名前は要りません。
泰臣を、あたしに下さい」




あたしには、東條が必要なんだ。

他の誰にも、替えられないくらい。
誰になんて言われても、諦めきれない。



あたしは……東條が、好き。





「……ふざけるのもいい加減にして‼
何なのあなた、どういうつもりで……っ」




荒い声を上げて、東條のお母さんはあたしをキッと睨み付けた。