「──……あたしやっぱり、東條のことが好きなんです。
香乃華さんに、……──香乃華さんには、渡したくありません。

だから……っ」

「だから、香乃華との結婚をやめろって?
それとも、自分と結婚させろって?」



「……そういう訳じゃ……」



いざ、目の前にすると思うように話せない。

言いたいこと、ちゃんとまとめたのに。
なんで言えないのかな。


決めたのに。負けないって。
大事なものは、自分で守り抜くって。




「……東條の話を、ちゃんと聞いて下さい。
望まない結婚なんて、あまりにも可哀想です。

あたしと結婚させて欲しいとは言いません。

だけど……ちゃんと、東條の気持ちも受け入れてあげて下さい。お願いします‼」