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「……っ」



帰って来た、東條の家。
目の前にあるのは、大きなドア。

あたしは大きく深呼吸をして、そのドアを叩いた。





「はい」



「……失礼します」



中から、返事が聞こえた。
あたしは頭を下げるとドアを開けた。

部屋の中にいたのは──……





「あら?あなた──……」



「……あの、お話があるんですけど」



東條の、お母さん。


あたしは後ろ手でドアを閉め、ゆっくりと歩み寄った。




「何?話って─……」



「お願いが、あるんです。
すごく、大切な話なんですけど……」



あたしのその言葉を聞いて、東條のお母さんはもう一度あたしの方に視線を向けた。


……あたしは、諦めたくない。