「え?」



「ごめん、あたし帰る‼
どうしてもしなきゃいけない用事が出来たの‼」



「ちょ……っ、おい!?」




生嶋くんをそのまま残し、あたしはその場から駆け出した。


やっぱりあたしは、東條と離れたくないよ。やっぱり、ずっと一緒にいたい。



──東條は、一緒にいてくれなきゃダメな存在なんだ。





さっき通った道を抜け、出入り口を抜けてバス停にたどり着く。

ちょうどあたしが帰る方面と同じ方面行きのバスが来ていて、急いでそのバスに乗り込んだ。



窓際の席が空いていたのでそこに腰を下ろす。

窓から見える景色は、夕日でオレンジ色に染まっている。



そしてふと、思い出した。
今日、東條が選んでくれたオレンジ色の風船を。