「それ、って……」



──あたしが聞いていても、わかる。

香乃華さんの声が、震えていること。


だけど東條は、そのまま話し続けた。




「──香乃華のことだって、大事な人だと思ってるよ。

だけどアイツは香乃華以上に、大事で、好きで、俺が守ってやらなきゃいけない人なんだ。
……ずっと一生、側にいて欲しい人」




……やっぱり、あたしは間違っていた。

お似合いだとか、可愛いとか、そんなの全然関係ないんだ。


大事なのは、……自分の気持ち。


あたしがどれだけ、東條のことを想っているのか。東條がどれだけ、あたしのことを想ってくれているのか。



大切なことは、それだけだったのに。

他のことにこだわりすぎて、大切なものを見失っていたのは……あたしだった。