楽しそうに笑ったその顔に、あたしは思わず笑みを溢した。



「……バカじゃないの?
あたし、こんな凶暴には見えないもん」




あたしを見上げる、生嶋くんの視線。
ふいに笑うのを止め、生嶋くんの方に視線を落とした。


目が合った瞬間、今までに見たことのないような笑顔を向けられ、あたしの胸は思わずドキリとなる。




「お前、笑ったら普通に可愛いのに。
怒ってたら勿体ねぇよ」



「な……っ」



「あ、バス来た。ほら行くよ」




ちょうどバスが停留所に着き、生嶋くんは何事もなかったかのように平然と立ち上がると先にバスに乗り込んでしまった。


残されたあたしは、しばし呆然。



──なに、さっきの。

意味、……わかんないよ。





──ぐちゃぐちゃに絡まった糸は、ほどけるどころか余計にキツく絡まりあう。