バスの停留所に着いて、生嶋くんはそこにあったベンチに腰を下ろした。

あたしもそれに続いて、隣に腰かける。


一瞬、沈黙が流れた後、生嶋くんは言った。




「……なんで、行かせたの?」



「え?」



「お前が行かせたんでしょ?そこ」



「……うん」




それと同時に、呆れたようなため息が耳に届く。


あたしは目線だけを上げて、チラッと生嶋くんの顔を覗き込んだ。

……やっぱり、呆れてるよね。





「……あたしだって、喜んで行かせたわけじゃないよ」



「そんなのわかってるよ。
俺は、どうして身を引こうと思ったの、ってことを聞いてるの」




……そんなの、わかんない。



──いや、わかってる。

わかってるけど、言えない。



だって──……