怪訝そうな表情を浮かべる生嶋くん。

あたしは一度深呼吸をして、生嶋くんに全てを話した。



東條に、許嫁がいたこと。

香乃華さんが言ったこと。

あたしが、身を引こうとしたこと。

やっぱり、諦めたくないこと。



全部を話したところで、生嶋くんは顔を上げて口を開いた。



「……で?どこ行きたいの」



「へ?」



「行きてぇんだろ?……東條のところ。
で、どこ?」



生嶋くん、いい人だなあ……

あたしのために、そこまで──……




「東條の許嫁か……
どんなヤツだよ、クソ」




……あら?

どうやらあたしのためじゃあ……ないみたい。




「で、どこ?」



「あ、えと……春ヶ丘遊園地」



「……お前、通り過ぎちゃってんじゃん」



「…………」