「──わかった」



消え入りそうな、小さな声。

その声は──……東條、だった。




「香乃華とのことは、ちゃんと考える。


でも、俺は、蘭が好きだ。
それだけは、覚えていて欲しい」




真っ直ぐで強い、言葉。

東條のお母さんは少しだけ眉を寄せ、それでも小さく頷いた。



「香乃華のことをちゃんと考えるって言ったんだから、それなりのことはしなさいよ?」



「……わかったよ」



はあ、と重苦しいため息をつきながら、東條は頭を抱え込むような格好をとる。



──あたしの、せい?


もし、あたしと付き合っていなかったら。

東條は、なんて返事をしていたのかな。


あたしと、付き合ってなかったら。

OK、したのかな?