ガチャッ……


「……おはようございます」



「あ、おはようございます。蘭さん」




少しだけトーンの高い聞き慣れない声が耳に届き、思わずビクリと身体が震えた。

この、声。




「……おはよう、ございます。

……香乃華さん」




少しだけ顔を上げると、彼女があの笑顔でニコリと微笑むのが見える。



「昨日は、よく眠れましたか?」



あたしの気持ちになんて気付いていないような素振りで、香乃華さんはそう話し始めた。


──香乃華さんのことを、嫌だとか、苦手だとか……そう思っちゃうのは、ダメなことなのかな。

そんなつもり、ないのに。



話しかけられると、何だか落ち着かなくて。

こんなの、嫌なのに。
こんな気持ち、嫌なのに。