「……っやだ‼もう……」



ブンブンと頭を振り、嫌な想像を振り払う。


大丈夫だよ。
だって東條は、結婚する気はないって言ってたもん。

香乃華さんと、結婚はしないって言ってた。


だからあたしは──……東條を、信じる。





「よしっ」



気合いを入れるためにパチンと両手で頬を叩き、涙を拭った。

クローゼットを開けて、制服を取り出すと手早くそれに着替える。



昨日が文化祭だったから、その振替で今日は学校が休みの日。



メイド服に着替えて、鏡の前で適当に身なりを整えると部屋を出た。



ダイニングルームに向かう途中に通る、東條の部屋の前。


胸がギュッとなった。