こ、この変態男……っ‼



「心配するフリして襲うな変態‼‼」





パンッ‼

もう一度部屋に響いた、鮮やかな音。
あたしはそのまま、部屋から出た。


このままだと、あたしいつか襲われちゃうじゃんっ‼





「蘭さんっ。
どうしたんですか?今の音……」



「ハエがいたから叩いただけですっ‼」





音に驚いて駆けつけて来た美椰さんにも、早足で歩きながら答えた。

美椰さんは不思議そうな顔をしていたけど、そんなの気にしない。




もう、冗談じゃない。
あんな二重人格の猫かぶり王子に襲われてたまるかっ。



仕事は仕方ないけど……
プライベートでは、今まで通り極力関わらないようにしなきゃ。

と言うか、そうせざるを得ない。




「……はあ」




あたしの幸せは、一体どれだけ逃げていけば気がすむのよ……