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誰も口を開くことなく歩き続け、東條が足を止めたのはさっきの家庭科室の前。
変わらず、人の気配はない。
「入って」
ドアを開けると、東條はそう言って赤嶺さんを中に入れた。
それに続いて、あたしも中に入る。
中に入ると、東條は近くにあったイスに軽く腰掛けた。
「なんで、こんなことしたの?」
怒ってた割には、優しい声。
……我慢、してるのかな?
赤嶺さんに視線を移すと、黙ったまま下を向いている。
「……別に、怒ってないから。
話してくれない?」
やっぱりいつもより、丁寧な言葉使い。
だけどどこか……
言葉に、トゲがある感じ。
やっぱ我慢、してるんだろうなあ……
裏の顔を知ってると、ちょっとした行動でここまでわかるんだなぁ、なんて。


