……なに、言ってんの?
捜してた、なんて──……


今さら嘘、つかないでよ。




「……蘭?どうした?」



「っや……‼」




ずっと黙ったままのあたしを見て、東條はあたしに向かって手を伸ばした。

パチン、という渇いた音が耳に響き、あたしははっと顔を上げる。


東條が伸ばした手を、無意識に拒絶してしまった。




「え、……蘭?」



「──……ないで」



「え?」



「他の子に触った手で……っ触んないで‼」




振り払われた手を握ったまま、東條は怪訝そうな表情を浮かべてあたしを見る。




「は?なに言ってんのか、全然わかんねぇし。

まだ、さっきの客のこと気にしてんの?」




……違う、違うよ。
なんで、わかってくれないの。


なんで、隠してるの。

あたしは、もう知ってるのに。