「……っ」



なんで、とか。
どうして、とか。


あたしが考えたってきりがないのに、そんなことばっかりが頭の中に浮かんできて。

あたしはそのまま、その場から駆け出した。




人の少ない特別教室の方を通って、やっと足が止まったのは裏庭まで出た所。

荒い息を整えながら、頭の中ではさっき見た風景を思い出していた。




「……、っんで……」




なんで、キスなんて──……

ねぇ、なんで。なんで…………







「……蘭‼‼」




どうして、このタイミングで……



「東、條……」



「良かった、見つかって。

捜してたんだ。
自由行動、一緒に回るって言ってたのに、蘭いねぇから。電話も、何回しても出ねぇし」



そう言われて、スマホを確認する。
画面に表示されている、メール受信と着信のマーク。