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「……はぁ~」
ガヤガヤと騒がしい人混みの中を通りながら、大きなため息をついた。
……やっぱり、つまんない。
東條が隣にいないと、意味ないよ。
そのまま人混みを抜けて、文化祭には使われていない特別教室の方に来た。
さっきとは対照的に、シンとしている。
「……ん?」
なんか、声?
聞こえた気が、する。
キョロキョロと周りを見回しながらも、一歩ずつ声が聞こえた方に近付いて行ってみると。
ガタンッ……
すぐ側の家庭科室から何かが倒れるような音がして、開いていた窓からそっと覗き込んでみた。
「──……え?」
……なんで?
忙しいから一緒に回れないって、そう言ったじゃん。
なのに、なんで。
なんで、他の女の子と──キスなんてしてるの?


